FF7リメイクの発売日が決定したということで、改めて主人公である「クラウド」について語ってみます。FFシリーズの中でも群を抜いた人気キャラクターであり、派生ゲームやコラボ作品にも数多く登場しています。
無印本編の内容を中心に、クラウドについて掘り下げていきます(FF7の派生作品ですが、筆者はACくらいしか知りません)。
記事中にゲーム内のセリフを引用している部分がありますが、記憶の範囲でのものであり、若干言い回しが異なる可能性があります。
というかほぼほぼrihiraの記憶を頼りに語っているので、思い間違いとかの部分があったらすみません。
物語のネタバレ記事でもあるので、未プレイの方は閲覧にご注意ください。
※本家無印版の設定を元に考察しています。リメイク版ではありません。
目次
クラウド・ストライフとは
自称元ソルジャー、出身はニブルヘイムです。
かつての英雄セフィロスに憧れてソルジャーを志しますが、その夢が果たされることはありませんでした。
ソルジャーとは人体にジェノバ細胞を移植されたうえ、魔晄を浴びさせられて作る屈強な兵士のこと。
外見的な特徴として、瞳の色が他の人と違うことが作中でも語られています。
クラウドはソルジャーではありませんが、ある事件を機にジェノバ細胞と魔晄の影響を受けたため、見た目と能力はソルジャーと同等だったと推測されます。
幼少期のクラウド
子供の頃は友達がおらず、周りの子達を「子供っぽい」とバカにしたり、「自分は特別」と思い込むようなヤバイやつでした。
村のアイドル的存在だったティファに対して、筆者としては羨望、嫉妬、恋心など複雑な感情を抱いていたのではないかと推測します。
ティファの母親が亡くなり彼女がニブル山に行った時も、クラウドは単身付いていき、つり橋から共に落下。
ティファはクラウドが付いてきたことさえ知らず、前後の記憶もなくしました。
一方のクラウドはティファがひどい目にあったのはお前のせいだと責められ、その時からティファやみんなに「責められている」と感じるように。
そんな感情を払拭するべく、ソルジャーになることを決意します。
英雄セフィロスへの憧れと、ティファや村のみんなに認められたい、という気持ちがソルジャーへの原動力となりました。
ジェノバ細胞の能力とクラウドの人格
ジェノバ細胞は相手の記憶を読み取り、記憶の中の人物に擬態するという能力を持っています。
クラウドは過去にザックスと共に捕らえられ、人体実験の餌食にされるのですが、この時にジェノバ細胞と魔晄の影響を受けたわけですね。
魔晄を浴びてメンタルの弱いクラウドは廃人になり、ザックスに助けられてミッドガルまでたどり着きます。
クラウドと偽物の自分
物語の佳境では、クラウドの中のジェノバ細胞がティファの記憶にある「クラウド・ストライフ」に擬態し、それを演じていたのだとセフィロスに吹き込まれてしまいます。
後にジェノバが擬態していたと思い込んでいたクラウドと、ティファの記憶の中のクラウドは同一人物であることが判明。
本当の自分を取り戻します。
実際にはジェノバの擬態に加えて、クラウドの弱い精神が理想の自分を作り出していました。
ソルジャーになっていないのになったと自称したり、振る舞いが本当の性格と違うのは、ソルジャーで親友だったザックスから聞きかじった、真似たもの。
何でも屋もザックスからの受け売りですしね(しかし本編ではザックスの記憶消去されてるっていう)。
ソルジャーになれなかったクラウド
ティファに高々とソルジャーになるぜと宣言したのに、実際にはなれなかった。
それなのに、神羅兵の任務としてニブルヘイムに行かなくてはならなくなりました。
笑って打ち明けられる友達や仲間がいないクラウドにとって、大恥をかきに帰るようなものだったでしょう。
この出来事を隠して偽りの自分を演じることが、彼のプライド、自我を保つ手段となったわけです。
クラウドと偽物の自我崩壊
FF7の中でも非常に重要なシーンが、クラウドの偽物の自我が崩壊する場面です。
クラウドの自我が不安定な描写は度々あって、クラウド自身も「自分が怖い」と言っているシーンがあります(古代種の神殿後だったかな)。
このあたりから、本格的に自分の人格に対して疑いや不安の気持ちが大きくなっていったのではないでしょうか。
エアリスのセリフにも「自分が壊れてしまわないように」とあるので、このあたりでクラウドはかなり不安定な状態になっていることが推測できます。
そんな中、セフィロスの手によってエアリスは他界。
イイ加減精神的にキテる状態で、セフィロスから「元ソルジャーでもないしティファの幼なじみでもない、ジェノバの人形である」と告げられます。
告げられた時点ではまだかろうじて平静を装っていますが、ティファがハッキリとセフィロスの指摘を否定しなかったことと、セフィロスの指摘に揺さぶられて混乱し、最終的には「悩むことはなかったな、なぜなら俺は…」と自分から演じていたことを認めるようなセリフを吐き、今までのクラウドではなくなります。
クラウドにとって過去の自分を知っているのは、同郷のティファです(厳密には事件当時のことはセフィロスも知っている)。
家族や故郷の全ては、セフィロスによって奪われています。
自分が何者なのか疑心暗鬼だった状態で、同じ過去を共有していたティファが自分の存在証明でもあったわけでしょう。
<追記>
改めて物語を振り返ってみると、この段階では精神崩壊というより完全にジェノバに乗っ取られた、と言った方が正しい気がしてきました(まあそれを崩壊と言っても間違いではないかもしれないけど)。
このイベントシーンは本物セフィロスとクラウドがこれまでで最も近い場所におり、セフィロスの意志、つまりはコピーを操る力が最大に働くであろうと推測されます。
クラウド本人の弱い自我がセフィロスの追求とティファの優柔不断さによって揺らいだこと、それに加え、強大なセフィロスの意志がクラウドの自我を完全に支配下においたことで、「俺、クラウドになりきれませんでした」などと発言するに至ったのでしょう。この言葉(これ前後全て)は、セフィロスコピーとしての発言(セフィロスの言葉を借りるなら「人形」)だと捉えることができます。
クラウドの精神が完全におかしくなる(グゲる)のは、この後の地場崩壊?でライフストリームに落下し、魔晄中毒になってからです。
<追記ここまで>
ただ、よくよく考えるとこれまでのクラウドこそ偽物(本物の意識もあったにせよ、基本は演じていた)だったわけで、この出来事は本当の自分を取り戻すために必要な崩壊でもあったと言えます。
「自我を失くした=最も大切なものを失った(ケット・シーの占いの伏線)」という解釈もありますが、クラウドはすでに偽物の自我をまとって動いているわけですから、その偽物の自我を失った=最も大切なものを失ったというのは違うんじゃないかと思うわけです。
セフィロスへの憧れと大きな失望
クラウドはセフィロスに憧れてソルジャーを目指しています。
しかしセフィロスの常軌を逸した行動(村を焼き、クラウドの母含め多くの人を殺した)に失望し、最後には自らの手でセフィロスにトドメをさすのです。
「あんたを尊敬していたのに…憧れていたのに…」に、クラウドの気持ちが表れていると思います。
ただ、この時点ではクラウドは格下の一兵卒で(人体実験前)、能力的にはセフィロスはおろかザックスにも劣っていたはずです。
セフィロスはすでにザックスらの猛攻によって消耗していた、ジェノバを見つけて油断した隙をつかれたなど、特殊な状態だったため当時のクラウドでも勝機があったのでしょう。
度々セフィロスに有利な奇行を取っていたクラウドですが(古代種の神殿、忘らるる都など)、これはジェノバの親玉的存在だったセフィロスに、ジェノバ細胞を持ったクラウドが操られていたため。
でも細胞はもったままなのになんで後半は操られなくなったの?というと、多分本物の自分を取り戻し、ジェノバ(セフィロス)による擬態の支配を受けなくなったからではないでしょうか。
クラウドとティファの本当の関係って?
本当は二人は幼なじみではなかった、ことが作中で判明します。
FF7の物語を語る上でも結構重要なポイントだと思っているのですが、色々なキャラクター紹介を見ても絶対に「幼なじみ」って書かれているんですよね(単純にネタバレ防止の意味もあるとは思いますが)。
幼なじみというのは、幼少期に仲の良かった関係を指します。
しかし、クラウドの幼少期には友達と呼べる関係の人物はいません。
強いて言うならクラウドの一方的な片思いで山に追いかけに行っただけで、仲が良かった訳ではありません。
クラウドはジェノバの擬態が入っているので記憶を改竄しているのはわかるのですが、ティファまでクラウドを幼なじみと思い込んでいるのは合点が行かないんですよね(精神世界で「そういえばクラウドと遊んだ記憶ない」=本当はそんなに仲良くなかったことを思い出しています)。
給水塔直前の記憶吹っ飛び過ぎだろうと突っ込んでしまいました。
クラウドはエアリスをどう思っていたのか
あとで知った話ですが、FF7本編って約1ヶ月の話だそうです。
短期間すぎて世界まわるの絶対無理だろと思うのですが(あのマップは世界のごく一部という設定なんでしょうかね)。
その短い期間でクラウドがエアリスのことをどうこう思うかと言われれば、恋愛だのなんだのというハッキリした感情はないんじゃないかなと。
むしろ死んでから大切さを再認識した感じがありますね(これは他の仲間も同じですが)。
エアリス側は、ザックスに似ていたのがきっかけで急速に恋に発展した?感じでしょうか(クラウドに対しての行動や、ゴールドソーサーでのイベントなど)。が、クラウドは鈍いらしいです(確か解体新書かなんかで言ってた)。
クラウドが彼女をどう思っていたか表すシーンですが、「あんたには、ちょっと年上であんたをぐいぐい引っ張っていく、そんな女の子がぴったりだと思うんだよね」というクラウドの母親の言葉、回想でクラウドがこの言葉を思い返したという点がポイントなのではないでしょうか。
なお、本編はクラウドの選択肢、行動でエアリス、ティファ、ユフィ、バレットとの好感度が変化するようになっており、プレイヤーによってはそれぞれのキャラに好意を抱くことが可能(ただし主に前半)です。
クラウドはティファをどう思っていたのか
上述したように、幼少期のクラウドはティファに対する淡い恋心を抱いていたと個人的に推測します。
恋だけでなく、羨ましさ、憧れ、嫉妬なんかもあったでしょう。
僻んでいた子供時代ならではの屈折した感情みたいなものがあったように思います。
ソルジャー挫折時代から再会までですが、クラウドの人生が激動すぎて恋云々という気持ちが変わらずに持続していたとは考えにくいです。
見栄を切って宣言したのにソルジャーになれなくて、そのあとは憧れの英雄が発狂して母親も故郷も失い、あげく人体実験で精神崩壊、友人も他界。
こんな状態で恋だなんだの気持ちを持ち続けられるとは思えないんですよね。
ティファと再会した時ですが、最初グゲッていて途中からあれ、ティファ!?みたいに気づくシーンがあります。
この時にジェノバ細胞がピーガガガーっとティファの記憶を読み取って、ティファ!の時に擬態完了シャキーン、みたいに感じました。
本物の性格のクラウドなら、あんな状態でティファに会ったら穴掘って隠れるでしょうしね。
実際にニブルヘイムの任務で帰郷した時はおもっきし身分隠してました。
ただ、根底にはティファのことを知っている同郷のクラウドが眠っているので、彼女に対する何らかの意識や想いはあったと思います。
恋愛的に好きだったかどうかは、アバランチの任務が終わったら即おさらばしようとしていた点からも、あの当時はそういった気持ちはなかったと推測できます。
幼少期の気持ちそのままに彼女のヒーローになりたかったのなら、積極的に協力していたか、テロ自体をやめさせようとしたはずですしね(厳密にはなりたいと言ったわけではなく、なってくれと言われたんだった)。
この辺もほかの好感度設定のあるキャラと同じく、物語中で想いが深まる感じなのではないでしょうか(精神世界や最終決戦前など)。
本物と擬態クラウドの性格比較
擬態クラウドの性格の方が、世間的には有名なのかな。
「興味ないね」で知られる、クールな方の性格です。
アバランチ任務の時も仕事が終わったら関係ないぜ、みたいな態度でしたし、報酬で動く傭兵、という感じでした。
女子受け、男子受けともに高得点だったでしょう。
本物の自我を取り戻してからは、少し丸くなった感じです。
言葉口調も柔らかくなって。「いこうよ、みんな」とか。
子供時代からもわかるように人付き合いは苦手で、内気な性格。
ソルジャーになれなかったやーテヘ☆で済む話を何が何でも隠蔽しちゃう、かなーりアレな男でした。
逆にこのあたりが人間的でイイ、とも言えますよね。
同性の方が共感できる点が多いかも?
総括:クラウドが人気の理由
・ グラフィックが綺麗になってから初めてのイケメン主人公だった…女性のハート鷲掴み
・ クールキャラかと思いきやコミュ障で根暗系だった…人間らしいと共感を呼んだ
・ 女装した…まぁ色々な層を取り込んだ
これらの要素が相まって、FFで一番の人気キャラクターになったのかなぁと勝手に予想しました。
特に性格の部分。
弱い自分を隠したり、周りを不用意に見下してみたり、挫折を繰り返したり。
本物のクラウドは、プレイヤー自身の痛いところ、弱いところ、直視できないところを写しているから、大きく共感された。
よってFFを代表する主人公になったのでしょうね。
個人的にクラウド絡みで好きなシーンは、クラウドが正体を明かして軍帽を脱ぐシーンです(同時にフィールドテーマが流れるところ)。
子供ながらにうああああってなったのを覚えています。
FF7の中でも上位を争う名シーンだと思いますね。
クラウドだけじゃなくて、作品自体がよかったからこそキャラクターも受けたんだと思います。
グラフィック、ストーリー、BGMのほか、遊び心もたくさん散りばめられたゲームでしたからね。
ゲーム自体が面白くないと、いくらキャラが魅力的でもここまでの人気にはなっていないでしょうし。
間違いなくゲーム史に名を残す作品と言えるFF7。
その分リメイクはハードルがダダ上がりですが、楽しみ半分、不安半分で待っていたいと思います。
要約・引用 スクウェア・エニックス(1997)「ファイナルファンタジー7」
© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA/ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION: © 1997 YOSHITAKA AMANO
スポンサードリンク